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2025年最新版!相続税の基礎控除改正とその影響を徹底解説2025.12.04

2025年最新版!相続税の基礎控除改正とその影響を徹底解説

はじめに

相続税は「一部の資産家だけの税金」というイメージがありましたが、基礎控除額の見直しによって、今では一般のご家庭でも相続税の対象になるケースが増えています。特に、平成27年の改正以降は、自宅や預貯金、わずかな金融資産だけでも「相続税がかかるかもしれない」という状況がめずらしくはありません。

そこで本記事では、2025年時点での相続税の基礎控除について、これまでの改正の流れや現在の計算方法、どんな人に影響が出やすいのかについて分かり易く解説します。

相続税の基礎控除改正とは?――概要と改正の流れを徹底解説

相続税の基礎控除とは、相続財産のうち、一定額までは相続税計算の対象から差し引いてよい、いわば非課税のような仕組みです。相続財産の合計額がこの基礎控除額以内であれば、相続税は発生しませんし、申告が不要となるケースもあります。

この基礎控除額は長年固定されていたわけではなく、社会・経済などの変化に応じて見直しが行われてきました。ここでは、なぜ基礎控除が改正されたのか、その背景と、直近でもっとも大きな変更があった平成27年以降の改正内容について解説します。

相続税の基礎控除額はなぜ改正されたのか?背景と理由を詳しく解説

基礎控除が見直された背景には、いくつかの理由があります。

ひとつは、少子高齢化により、高齢世帯に資産が集中し易くなっている現状です。限られた一部の富裕層だけでなく、より幅広い層にも相続税を負担してもらうことで、資産の偏在を是正しようという考えのもと改正が行われました。

また、相続税本来の役割である「富の世代間の再分配」を実施させることや、税収の安定確保といった観点から、課税対象となる層を広げる方向で基礎控除額が改正されたのです。

平成27年(2015年)からの基礎控除額の具体的な改定内容と推移

現在の相続税の基礎控除額は、次の計算式で求めます。

「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」

この計算式は、平成27年1月1日以後に相続が発生した場合から適用されています。

一方で改正前は、

「5,000万円 + 1,000万円 × 法定相続人の数」

という、現在よりも大きな基礎控除額が認められていました。

法定相続人が2人(配偶者と子ども1人など)のケースで比較してみましょう。

改正前は「5,000万円+1,000万円×2人=7,000万円」

までが非課税でしたが、

改正後は「3,000万円+600万円×2人=4,200万円」

にまで下がっています。

同じ財産額でも、平成27年より前は相続税がかからなかったのに、改正後は基礎控除を超えてしまうケースが増えた、というのがこの改正の大きなポイントです。

相続税の基礎控除改正は誰にどのような影響を与えるのか?

基礎控除の引き下げによる影響を強く受けるのは、富裕層よりも、むしろ自宅や預貯金、生命保険、退職金などを合わせるとある程度の資産になる、一般的な資産を持つご家庭です。

以前なら基礎控除内に収まっていたご家庭でも、改正後は相続税の申告が必要になるケースが増えてしまったため、「自分たちには関係ない」と考えるのは危険です。

大分市のように首都圏ほど地価が高くない地域も、広めの土地や持ち家を所有している世帯、事業用不動産や賃貸物件を持つ世帯では、基礎控除を超える可能性が十分あるでしょう。

相続税の基礎控除改正による対象者の増加と現行制度のポイント総まとめ

平成27年の基礎控除改正は、「いくら以上の財産があれば相続税がかかるのか」というラインを大きく引き下げました。ここでは、改正によってどのような事例で相続税が発生しやすくなったのか、そして現行ルールで押さえておきたいポイントを解説します。

改正によって相続税が発生する事例がどのように増加したのかを解説

基礎控除が引き下げられたことで、次のような事例で影響が出やすくなりました。

自宅の土地・建物の評価額が数千万円になるご家庭では、預貯金や有価証券、生命保険金、退職金などを合計すると、改正前なら基礎控除内だった水準でも、改正後は控除額を超えてしまうケースが増えています。

大分市の場合でも、郊外に比較的広い土地付き一戸建てを所有しているケース、アパート・貸家などの不動産をお持ちの方は要注意です。

地元の地価水準だから安心、というよりも、「自宅+預貯金などを合計するとどのくらいになるか」を一度数字で把握してみることが、相続税の有無を判断するうえで重要です。

改正後の基礎控除額計算方法と法定相続人の数が与える影響

現行制度の基礎控除額でポイントになるのが、「法定相続人の数」です。

相続人の人数が多いほど基礎控除額は大きくなり、課税ラインも上がります。一方で、相続放棄をする人が出た場合など、法定相続人のカウントの仕方を誤ってしまうと、基礎控除額を少なく見積もってしまう虞れもあります。基礎控除の計算上は、相続放棄をしても人数には含めるといったルールがあるのです。

実務では、誰が法定相続人にあたるのか(配偶者の有無、子ども・父母・兄弟姉妹の順序など)を正しく整理したうえで、基礎控除額を計算しなければなりません。

基礎控除の引き下げにより必要となる相続税対策のポイント

基礎控除が引き下げられたことで大切なのは、「現状を数値で把握すること」です。

自宅や土地、預貯金、有価証券、生命保険金などを一度リストアップし、おおまかな評価額と合計を出してみることで、「基礎控除と比べてどの位置にいるのか」が見えてきます。

そのうえで、将来の相続時に基礎控除をどの程度超えそうかを見込みながら、必要に応じて生前贈与や遺言書の作成などを検討します。具体的な対策の内容はご家庭ごとに異なりますが、「基礎控除の引き下げで、自分たちも相続税の対象になり得る」という前提に立って早めに動き出すかどうかが、将来の税負担を左右する大きなポイントです。

相続税申告や課税対象となる資産の確認・計算方法を徹底解説

相続税は、遺産総額そのものにいきなり税率をかけるのではなく、非課税財産や債務の控除を行い、そのうえで基礎控除と比較するという流れで計算します。ここでは、相続税の発生を判断する際の流れと、土地・建物を含む不動産の評価で注意したいポイントを整理して見ていきましょう。

適用要件・場合分けで見る相続税の発生と非課税財産の範囲

相続税がかかるかどうかを検討する際の基本的な流れは、次のようなイメージです。

まず、「被相続人(亡くなった方)が持っていた財産」を一通り洗い出します。現金・預貯金、有価証券、自宅や土地などの不動産、事業用資産、貴金属・美術品、貸付金などが代表的です。ここで把握した金額を合計したものが、いわゆる「遺産総額」です。

次に、この遺産総額から「相続税の対象とならないもの」や「亡くなった方が負っていた借金」などを差し引きます。代表的な非課税財産としては、墓地・墓石、仏壇・仏具、神棚などの祭祀財産、一定の範囲内の生命保険金・死亡退職金などが挙げられます。

これらを踏まえて計算した「課税価格の合計額」と、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を比較し、課税価格が基礎控除額を超えるようであれば相続税の申告・納税が必要になる、というのが基本的な流れです。

土地や不動産を含めた課税財産評価の方法と注意点

相続税の検討で特に煩雑になるのが、自宅や土地などの不動産の評価です。固定資産税の納税通知書に記載されている評価額がそのまま相続税の計算に使えるわけではなく、相続税の評価は「路線価」や「倍率方式」といった基準にて計算されます。

市街地の宅地の場合は、国税庁が毎年公表している路線価をもとに、土地の面積や形状、間口の広さ、奥行きなどを加味して評価額を算出します。一方、路線価が定められていない地域では、固定資産税評価額に一定の倍率をかける倍率方式を用いるのが一般的です。

このように、不動産の評価は専門的な知識が必要で、相続税申告の有無に直結しやすい重要なポイントです。大分市を含む地方エリアでも、土地の広さや利用状況によって評価額は大きく変わりますので、「おおよその価値は分かっているから大丈夫」と自己判断せず、相続が見込まれる段階で一度、税理士などの専門家に相談しておくと安心です。

生前贈与や節税対策など相続税基礎控除改正後に検討すべき主な方法

基礎控除が引き下げられたことで、「生前のうちからどこまで対策をしておくか」がこれまで以上に重要になっています。ただし、やみくもに対策すればよいわけではありません。近年は相続税・贈与税の改正も相次いでいるため、最新のルールを踏まえたうえで慎重に検討することが欠かせません。

暦年課税と相続時精算課税を使った相続税対策

相続税対策として検討しやすいのが生前贈与です。生前贈与には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの課税制度があります。

暦年課税には、年間110万円までは贈与税がかからない基礎控除があるため、時間をかけて少しずつ財産を移していけば、将来の相続財産を圧縮する効果が期待できます。ただし、令和6年(2024年)以後の贈与については、相続開始前の一定期間内に行った贈与が相続財産に加算される期間が段階的に3年から7年へと延長されました。亡くなる直前の贈与ほど、相続税の計算に戻されやすくなる点に注意が必要です。

また、相続時精算課税を利用する方法もあります。この制度では、一定の親子間の贈与について、合計2,500万円までは贈与税を原則かけず、将来の相続時にまとめて精算する仕組みです。令和6年以降は、相続時精算課税を選択していても年間110万円までの贈与については加算対象外とする基礎控除が新設され、使い勝手が向上しています。

遺言書や家族信託で財産承継のルールを整える

「遺言書」や「家族信託」を活用して、財産の承継方法を整えておくことも有効です。

遺言書で誰にどの財産をどのように承継させるかを明確にしておけば、相続人同士のトラブルや遺産分割協議の長期化を防ぎやすくなり、その結果として相続税の申告・納付もスムーズに進めやすくなるでしょう。

また、将来認知症などで判断能力が低下した場合に備え、家族信託を利用して「誰が、どの財産を、どのような目的で管理するのか」を事前に決めておくことで、生活資金や納税資金の確保を安定的に行えるようにすることも可能です。

相続税の基礎控除改正のポイントまとめと今後の制度変更に備える

近年は相続税そのものだけでなく、生前贈与や相続時精算課税、加算期間の見直しなど、周辺制度の改正が続いています。「とりあえず毎年110万円ずつ贈与していれば安心」「昔聞いた相続対策をそのまま続けていれば大丈夫」といった感覚でいると、最新ルールとズレが生じてしまい、意図せず税負担が重くなってしまうでしょう。

相続税の計算や各種特例の適用、最適な対策の組み合わせは、インターネットの検索結果だけでは判断しきれない部分が多くあります。今後も税制度は変更され続けるため、税理士への無料相談を活用するなどし、安心して相続を迎えられるような対策をしておきましょう。 大分市や近隣エリアにお住まいで、「うちの相続税がかかるのか心配」「何から手をつければよいか分からない」と感じていらっしゃる方は、早めに当事務所へご相談ください。



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