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遺言無しでも受け継げる?法定外相続の手続き2024.08.29

1,法定外相続人以外に遺言無しで遺産を引き継ぐ方法

1-1.生前贈与で遺産を引き継がせる

遺言がない場合、法定相続人による話し合いで財産の分け方を定めます。これを「法定相続」といい、法定相続では、たとえ法定相続人全員が同意していたとしても、法定相続人以外の人に相続させることは許されません。被相続人が遺言を残していなかった場合でも、法定相続人以外に財産を分け与えることが出来ない訳ではありません。

現実的な方法としては、一旦法定相続人が相続をしてから贈与をすることが考えられます。しかし、この相続をしてから贈与をする方法はデメリットが多く、注意が必要といえます。相続をしてから贈与をした場合のデメリットとして、一番大きなものは税金の問題です。 一旦相続をすることで相続税が発生し、その後贈与をする際に贈与税が発生します。

1-2.信託を利用して遺産管理・分配

信託を利用して遺産管理や分配を行う方法は、法定相続人以外にも財産を相続させるための一つの手段です。信託契約を結ぶことで、死後の財産の承継者を指定できます。具体的には、信託終了後の信託財産の帰属先を決めておくことができます。但し、信託財産は遺産分割協議や遺言書の対象財産とはなりません。 遺言と同じように、信託を設定することで、相続人以外の第三者にも財産の分配をすることが可能です。この方法を活用することで、遺産の管理や分配を円滑に行うことができます。

1-3.遺産分割協議による遺産引継ぎ

遺言なしの場合は、被相続人の意思に拘束されません。よって、遺産分割協議によって法定相続人の納得がいくように遺産を分けます。逆に言えば、被相続人の思う配分で遺産を分けたければ法的に有効な遺言書を遺すしかないのです。

2,特別寄与料制度で法定相続人以外の受遺者の権利を認めるケース

2-1.特別寄与の具体例と遺留分請求権

法定相続人以外の人でも「特別寄与料制度」を利用することで遺産を分けられる可能性があります。特別寄与とは、相続人ではない親族が被相続人の生活や療養に尽力し、その結果として相続財産が増加した場合に、その寄与に応じて遺産分割で優遇されることです。

具体的な例としては、長年にわたり被相続人の介護や看護を行い、ヘルパー費用などの支出を抑えられた場合、被相続人の事業に尽力し、その発展に大きく貢献した場合、被相続人の療養生活を支え、精神的な支えとなった場合、このように、相続人以外の親族が被相続人の生活を支えたり、財産の増加に寄与した場合に、特別寄与料として遺産分割で優遇されることがあります。

一方で、遺留分とは法定相続分の一定割合で、遺言によってもこれを侵害することはできません。遺留分を侵害された相続人は、「遺留分侵害額請求権」を行使して、その侵害された部分の金銭的な請求ができます。具体的な例としては、遺言で特定の相続人に多くの遺産を分与した場合、生前贈与によって相続財産が減少した場合の様に、遺留分が侵害された場合、相続人は1年以内に遺留分侵害額の請求をすることができます。

以上が特別寄与と遺留分請求権の概要です。相続に関する制度は複雑ですが、被相続人の生活を支えた親族の貢献を評価する特別寄与制度と、相続人の最低限の権利を保護する遺留分制度が重要な役割を果たしています。

2-2.受遺者が遺産分割協議で配偶者や兄弟と協力する

遺産分割協議において、受遺者が配偶者や兄弟と協力することは非常に重要です。この協力の過程で、遺産を公平に分けるための合意や、家族間の関係を円満に保つための努力が行われます。

具体的には、以下のような点が考えられます。

  1. 公平さの確保: 受遺者たちは、亡くなった方の意思や希望を尊重しながら、遺産を公平に分割する方法を模索します。これには、財産の評価や特定の遺産品の取り扱いについての合意形成が含まれます。
  2. 法的な手続きの遵守: 遺産分割はしばしば法的手続きを伴います。受遺者たちは、法的な規定や手続きを遵守しつつ、分割協議を進める必要があります。法的な指導を受けることも重要です。
  3. 感情的な調整: 遺産分割は感情的にも負担の大きいプロセスです。特に兄弟間や他の親族との間での協力は、感情的な調整が不可欠です。お互いの立場や感情を理解し合いながら、対話を重ねていくことが大切です。
  4. 専門家の支援: 遺産分割協議が複雑である場合や、紛争が予想される場合には、法律や財務の専門家の支援を求めることも有益です。専門家の助言を受けながら、より良い解決策を見つけることができます。

将来の家族関係の維持: 遺産分割のプロセスは、将来の家族関係にも影響を与える可能性があります。そのため、紛争を避け、できるだけ円満な解決を見つける努力が重要です。

遺産分割協議は、法的な手続きと同様に、家族や親族間の信頼関係を築くための重要な機会でもあります。協力し合いながら、公平かつ円満に解決することが、全員の利益になるでしょう。

3,遺産相続税と法定相続人以外への贈与税の違い

3-1.相続税の計算方法と範囲

相続税の計算方法

相続税は、被相続人が亡くなった際にその遺産を受け取る相続人に課税される税金です。日本の相続税の計算方法は以下の通りです。

  1. 相続財産の評価
    • 相続財産は、亡くなった人(被相続人)の財産全体から負債を差し引いた純相続財産が基礎となります
    • 財産の評価は、現金、不動産、有価証券、預金、貸金など、その市場価値や公定価格を基準として行われます
  2. 相続税の申告と課税対象額
    • 相続人は相続税の申告を行い、相続財産の純価額を申告します。申告内容は税務署に提出されます
    • 課税対象額は、相続財産の純価額から、法定控除額を差し引いた金額です。法定控除額は相続人の続柄によって異なります
  3. 税率の適用
    • 課税対象額に対して、相続税の税率が適用されます。税率は、相続人と被相続人の続柄によって異なります
    • 直系尊属(子供、配偶者)に対しては低い税率が適用され、それ以外の親族や非親族に対しては高い税率が適用される傾向があります
  4. 相続税の支払い
    • 相続税の支払いは、相続財産の申告後に税務署から通知される税額に基づいて行われます。支払いは通常、相続財産が分割される前に行われることが多いです

相続税の範囲

相続税の範囲には以下のような要素が含まれます。

  • 相続人の続柄: 相続人の種類によって税率や法定控除額が異なります。直系尊属(子供、配偶者)には低い税率が適用され、それ以外の相続人には高い税率が適用されることがあります
  • 財産の範囲: 相続財産には、現金、預金、有価証券、不動産、企業の株式などが含まれます。これらの財産は適切に評価され、その価値が相続税の課税対象となります
  • 法定控除: 相続税の計算において、法定控除額が適用されます。この額は相続人の続柄に応じて異なり、相続財産の課税対象額から差し引かれます
  • 特例措置: 特定の財産や状況に応じて、税法において特例的な免除や控除が設けられていることがあります。たとえば、住宅や農地など一定の条件を満たす財産については一部が非課税となる場合があります

3-2.贈与税の評価基準と免除措置

贈与税の評価基準

贈与税は、生前に贈与を受けた場合に課税される税金です。日本の贈与税の評価基準は以下の通りです。

  1. 贈与の内容と評価: 贈与税の評価基準は、贈与を受けた者(受贈者)が実際に受け取った贈与の価値です。例えば、現金、有価証券、不動産などの市場価値や公定価格が基準となります
  2. 評価の時期: 贈与税は贈与が行われた時点で課税されます。そのため、贈与時の市場価値や公定価格を基に評価が行われます
  3. 評価基準の確定: 贈与税の評価基準は、贈与時の実際の受領額に基づいて確定されます。贈与の形式や財産の性質によって、評価方法が異なる場合がありますが、基本的には市場価値が基準となります

贈与税の免除措置

贈与税には、特定の条件を満たす場合に免除される措置があります。主な免除措置には以下のようなものがあります。

  1. 家族による贈与の免除: 配偶者や子供間での贈与については、一定額までの免除措置が適用されます。これにより、直系尊属間の贈与には通常よりも低い税率が適用されることがあります
  2. 教育・医療費への贈与の免除: 贈与が教育費や医療費として用いられる場合、一定の金額までの免除措置があります。これにより、教育や医療に対する支援が促進されることが狙いです
  3. 農地や特定の資産への贈与の免除: 特定の資産、例えば農地などについては、一定の条件下で贈与税の免除が適用されることがあります。地域によって異なる場合もありますので、詳細な条件を確認する必要があります
  4. 一定額以下の贈与の非課税: 特定の金額以下の贈与については、非課税とされることがあります。この額は税制改正によって変動することがありますので、最新の情報を確認する必要があります

4,相続放棄と法定相続人以外への財産取得

4-1.相続放棄の手続きと注意点

相続放棄の手続き

相続放棄は、相続人が相続を放棄することを意味します。相続人が法的に相続を放棄するには、以下の手続きが必要です。

  1. 相続放棄の意思表示: 相続人は、相続を放棄する意思を明確にする必要があります。これは、相続開始後3ヶ月以内に行われる必要があります(民法第900条)
  2. 相続放棄の宣言書の作成: 相続放棄の意思を証明するために、相続放棄の宣言書を作成します。この宣言書には、放棄者の基本的な情報(氏名、住所など)と相続を放棄する旨が記載されます
  3. 登記簿の申請: 相続放棄の宣言書を添えて、地方裁判所に登記簿の申請を行います。この申請には、相続放棄の意思が明確であることを証明する書類が必要です
  4. 相続放棄の登記: 登記簿の申請が認められれば、相続放棄は正式に登記されます。これにより、相続人としての地位を放棄したことが法的に確定します

相続放棄の注意点

相続放棄にはいくつかの注意点がありますので、以下にまとめます。

  1. 時効: 相続開始後3ヶ月以内に相続放棄の手続きを完了する必要があります。期限を過ぎると、相続放棄が認められない場合があります
  2. 後見人の同意: 未成年者や成年後見の対象者が相続放棄する場合、後見人の同意が必要です
  3. 相続負債の免責: 相続放棄によって、放棄者は相続負債を免れることができます。ただし、放棄前に行われた相続人の行為によっては、放棄者が責任を負うことがありますので、詳細な相続財産の状況を確認することが重要です
  4. 遺産の評価: 相続放棄する場合でも、その前に遺産の評価を行い、相続放棄のメリットやデメリットを理解することが重要です
  5. 法律の変更: 法律や税制は変わることがありますので、相続放棄を行う際には最新の情報を確認し、専門家の意見を聞くことが推奨されます

相続放棄は個々の状況によって異なるため、その手続きや法的影響について理解を深めることが大切です。

4-2,放棄後の遺産取得順位と対象者

相続人が相続放棄を行った場合、その人が相続人から外れます。その結果、次に続く相続人が遺産を受け継ぐ順位が定まります。放棄者がいた場合、その人を除いた相続人が次の順序で遺産を取得します。

  1. 次の相続人の順位に移る: 放棄者がいた場合、その放棄者の分はスキップされ、次の相続人の順位に進みます。
  2. 例外的な相続人: 例えば、放棄者の子供や配偶者がある場合、その人たちが相続人の順位に続きます。

5,専門家への相続相談や手続きサポート

5-1,弁護士・税理士・登記利用サービス

弁護士の役割と利用シーン

役割: 弁護士は法律の専門家であり、相続や贈与、遺言などの法的問題に関する助言や代理人としての活動を行います。具体的な役割は以下の通りです。

  • 法的アドバイス: 相続手続きや相続税の計算方法、法的な権利や義務に関するアドバイスを提供します。
  • 法的文書の作成: 遺言書や遺産分割協議書などの法的文書の作成を行います。
  • 訴訟代理: 相続に関連する訴訟や争いが発生した場合に、訴訟代理人として活動します。

利用シーン:

  • 相続や贈与に関する法的な疑問や問題が生じた場合
  • 遺産分割や遺言の作成が必要な場合
  • 相続税の申告や争いのある場合、訴訟に進む前の相談が必要な場合など

税理士の役割と利用シーン

役割: 税理士は税金に関する専門家であり、相続税や贈与税などの税務に関するアドバイスや計算、申告を行います。具体的な役割は以下の通りです。

  • 税務アドバイス: 相続税や贈与税の計算方法や節税方法に関するアドバイスを提供します
  • 申告書の作成: 相続税や贈与税の申告書の作成を行います。
  • 税務調査対応: 税務署とのやり取りや税務調査に対する支援を行います。

利用シーン:

  • 相続税や贈与税の申告が必要な場合
  • 税務に関する特別な状況や節税のためのアドバイスが必要な場合
  • 相続による資産の評価や税務上の問題が発生した場合など

登記利用サービスの役割と利用シーン

役割: 登記利用サービスは、不動産の登記や法務手続きに関するサービスを提供する会社やサービスです。具体的な役割は以下の通りです。

  • 不動産登記: 不動産の名義変更や登記簿の取得、抵当権設定などの登記手続きを代行します。
  • 法務書類の作成: 契約書や譲渡証明書、登記簿謄本の取得などの法務書類の作成を行います。
  • 相続登記のサポート: 相続に伴う不動産の名義変更や相続登記の手続きをサポートします。

利用シーン:

  • 相続による不動産の名義変更や相続登記が必要な場合
  • 不動産の売買契約や抵当権設定の手続きが必要な場合
  • 法務書類の作成や取得が必要な場合など

各専門家の利用のポイント

  • 弁護士: 法的な問題や訴訟が発生した場合、法的なアドバイスと代理人としての役割を果たします
  • 税理士: 税金に関する専門的なアドバイスや申告書の作成など、税務上の問題をサポートします
  • 登記利用サービス: 不動産や法務書類に関する専門知識を持ち、登記や契約書の作成・手続きを代行します

相続や贈与に関する問題では、これらの専門家やサービスを適切に利用して、法的・税務的なリスクを最小限に抑えることが重要です。

5-2,無料サイトや電話相談利用

無料サイトや電話相談を利用することで、法的・税務的な問題に関する基本的な情報やアドバイスを得ることができます。以下にいくつかの利用できる方法を挙げます。

無料サイトの利用

  1. 国税庁のウェブサイト

相続税や贈与税に関する基本的な情報や法改正に関する最新情報を提供しています。

国税庁の相続税のページ

  • 自治体のホームページ

地方自治体のウェブサイトでは、地域によって相続手続きや税金に関する詳細な情報を提供しています。

具体的な地域名や「相続 手続き 無料相談」といったキーワードで検索してみると、地元の情報が見つかることがあります。

  • 法律や税務に関する専門サイト:

法律や税務に関する専門サイトでは、記事やQ&A形式の情報を無料で提供していることがあります。例えば、弁護士ドットコムやタックスアカデミーなどが参考になります。

電話相談の利用

  1. 税理士会や弁護士会の相談窓口:

税理士会や弁護士会では、法律や税務に関する無料相談を提供していることがあります。専門家に直接相談できるため、具体的な問題に対するアドバイスを受けることができます。

例えば、日本税理士会の「税理士相談サービス」や弁護士会の「無料法律相談窓口」などがあります。

  • 行政機関の相談窓口:

国税庁や地方自治体の税務課などに直接電話で相談することもできます。相続税や贈与税に関する基本的な疑問や手続きについての質問をすることができます。 これらの無料サイトや電話相談を利用することで、まずは基本的な情報や手続きの流れを理解し、必要に応じて専門家への具体的な相談を検討することができます。ただし、複雑な相続や税務問題については、専門家のアドバイスを受けることが推奨されます。

まとめ!

遺言がない場合、法定相続人以外が遺産を引き継ぐ方法と注意点について説明します。

方法

  1. 遺産放棄者の承諾を得る
    • 遺産を放棄する法定相続人がいる場合、その人が遺産を放棄することに同意すれば、その分の遺産を引き継ぐことができます。
    • 放棄の手続きは、相続人全員が協力しなければならないこともありますので、全ての相続人の意向を確認することが大切です。
  2. 遺産分割協議を行う
    • 相続人全員が合意した場合、遺産分割協議を通じて、遺産の引き継ぎを調整することができます。これには、公正証書や遺産分割協議書を作成し、相続人間での合意を文書化する必要があります。
    • ただし、法定相続人の一部が同意しない場合、その部分については法定相続が適用されます。
  3. 遺言執行者の指名
    • 遺言がない場合でも、亡くなった人が生前に遺言執行者を指名していた場合、その遺言執行者が遺産の処理を行います。遺言執行者は、法定相続人以外の者に遺産を引き継ぐ手続きを進める役割を担います。

注意点

  1. 法的手続きの遵守
    • 相続の手続きは、地域や国によって異なる法律や規制に基づいて行われます。適切な法的手続きを遵守することが重要です。
  2. 全員の同意が必要な場合がある
    • 全ての法定相続人が協力する必要がある場合があります。特に、放棄の意思確認や遺産分割協議書の合意形成には、全員の同意が必要です。
  3. 税務上の影響
    • 相続には税金がかかる場合があります。特に高額な遺産や不動産などを相続する場合は、税務の専門家と相談することが望ましいです。
  4. 遺産の負債
    • 遺産には負債が含まれる場合があります。相続人が負債を引き継ぐ可能性があるため、その点も注意が必要です。
  5. 家族間の調整
    • 相続は家族間の感情的な問題を引き起こすことがあります。円満な解決を目指すために、遺産分割協議や専門家の助言を利用することが助けになります。

遺言がない場合でも、遺産の引き継ぎは相続人間の合意と法的手続きによって進めることができますが、その過程で法的な専門家の助言を受けることが重要です。



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