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相続税申告時の税理士の選び方と税理士報酬について2024.05.27
1 相続税申告における税理士報酬の相場と目安
1-1遺産総額に基づく税理士の報酬計算方法
相続税の申告手続きを税理士依頼する場合、専門的な知識を駆使し煩雑な処理を求められる為、幾ら位掛かり、報酬額が安い税理士と高い税理士のどちらを選べば良いのかといった悩みで頭を抱えて居るかと思います。
実は、税理士の報酬には相場があり、相続税の申告を依頼する場合は遺産総額の0.5〜1.0%が適正といえます。
税理士事務所には、ホームページに報酬額を公開しているところも多いので、おおよそこの範囲におさまる事務所を選ぶ事になります。その内訳として、「基本報酬」と「加算報酬」というものがあり、「基本報酬」は、税理士に依頼をした時に必ず掛かる「基本料金」になります。
この基本報酬ですが、相続財産の総額に基づいて算出されますので、相続する財産が多ければ多いほど作業量が増え高くなります。
1-2相続税申告の複雑性による報酬の変動要因
相続税申告手続きに関する税理士への報酬としては最低限かかる「基本報酬」に加えて「加算報酬」というものがあります。この報酬は、相続する人の数や相続する財産の内容、提供される役務等によって加算されていく種類の報酬、つまり「追加料金」です。税理士事務所によっては加算報酬の対象となる内容が異なる事もありますが、ここでは代表的なものをご紹介します。
- 相続人が複数いた場合
相続人の数が多いと必要な書類の数も増え、申告書の記入や手続きも煩雑になります。そのため、相続人1人追加ごとに、基本報酬の10〜15%を加算する場合が多く見られます。たとえば、基本報酬が30万円であれば、相続人二人目に関しては3万円(10%)から4万5000円(15%)の報酬が加算となります。
- 相続財産に非上場の株式がある場合
相続財産の中に非上場株式がある場合も又、税理士報酬が加算される可能性があります。上場株式は市場で取引されるため取引価格を相続財産額として計算すれば良いのですが、非上場株式の場合は取引がないので評価額を決めるのが非常に難しいのです。上場していない企業の株式が相続する財産に含まれていた場合、その株式を評価するには時間が掛かります。その企業の総資産、利益、負債、株式の配当金額等様々な要素を考慮して評価しなければなりません。そのため、加算報酬を「非上場株式1社につき10万円~15万円」と規定している税理士事務所も有ります。
- 書面添付を行う場合
書面添付制度とは、申告内容が適正である旨を説明する書面を税理士が作成しそれを申告書に添付して提出する制度です。簡単にいうと、相続税申告書に税理士のお墨付きが貰えるという事です。どのような資料かというと、相続税の算出にあたって何を根拠としてどう判断したかを示すものです。この書面添付を行うと、税務署の税務調査の対象から外される可能性が高くなります。通常、相続税の税務調査は全体の20〜25%といわれていますが、書面添付を行った場合は、およそ6%にまで減るとされています。
- 申告期限までに時間がない場合
10ヶ月と聞くとずいぶん余裕があるようですが、実際に手続きを始めてみると、必要な書類を揃えるのに時間が掛かったたり、財産をすべて洗い出して評価するのに手間取ったりして予想以上に余裕がないことに気付くでしょう。そのため、期限ギリギリになって「期限に間に合わない!」と焦って税理士に依頼する人もいますが、そのような場合にも「急いで対応するための料金(加算報酬)」が報酬総額の20%~50%が掛かってしまいますので、税理士への相談は可能な限り早く行った方が良いです。
2 税理士との相談から申告までの手続きの流れ
2-1初回相談で知っておくべきポイント
相続税がかかる条件は、相続する財産が何円を超えたら掛かると一律に決まっている訳ではなく、自分が幾ら相続するのか、他に相続する人は何人いるのか等、色々な条件が重なり決定されます。その中でも相続税が掛かるか否かを判断するときに重要となるのが「基礎控除」です。相続税には、相続する財産から一定金額を控除することができる基礎控除があります。相続税は、課税対象となる財産からこの基礎控除を差し引いた額に掛かります。すなわち、相続する財産の金額が、基礎控除額を超えた場合に相続税が発生することとなります。基礎控除は特に適用するための条件が定められている訳ではないので、相続が発生した全ての人が活用できる制度となっています。
基礎控除は以下の計算式で求めることが出来ます。
「3,000万円+600万円×法定相続人の数」
2-2必要書類の整備と準備方法
- 遺言書の有無を確認
まず初めに、被相続人が遺言書を書いていなかったか確認します。遺言書が「公正証書遺言」という、公証人が代筆し公正証書という形で残されている場合には、公証役場に保管されています。「自筆証書遺言書」という被相続人が自筆で書く遺言書の場合には、自宅や法務局で保管されています。法務局で保管されていた自筆証書遺言書以外は、家庭裁判所で検認という手続きをする必要があります。
- 相続放棄、または限定承認
相続する財産よりも借金が多い場合等は「相続放棄」や「限定承認」をする事があります。限定承認とは相続で得たプラスの財産額を限度として、マイナスの財産も引き継ぐ事をいいます。これによって、マイナスの財産の方が少なければ手元に財産が残り、マイナスの財産の方が多ければ、相続する財産をプラスマイナス0にすることができます。相続放棄と限定承認の申し立ては、相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所に行う必要があり、もし申し立てをしなかった場合には相続を承認した事となります。また、被相続人の配偶者や子どもが相続放棄した場合には、次の相続人に相続権が移ります。被相続人の両親が健在であれば、次は両親が相続をするか否かの選択をすることになります。
- 準確定申告
相続人が個人事業主などで生前に確定申告をしていた場合、被相続人の準確定申告を行う必要があります。準確定申告とは、亡くなった年の1月1日から死亡日までにかかる所得税の申告のことで、相続開始日から4ヶ月が申告期限となります。
- 相続する財産や法定相続人の確定
相続する財産は、現金や不動産の他に借入金や保証債務等も含まれるので、それらの評価額を算出する必要があります。又、法定相続人を調査するために、被相続人が出生してから亡くなるまでのすべての戸籍謄本を用意する必要があります。法定相続人とは、民法で定められている、被相続人の財産を相続できる人のことを指し、「被相続人の配偶者と、被相続人の血族」が該当します。血族の相続人に関しては相続順位が決められており、以下のような順位付けがされています。
第1順位 被相続人の子ども
第2順位 被相続人の直系尊属(父母、祖父母など)
第3順位 被相続人の兄弟姉妹
同じ順位に複数人いる場合には全員が法定相続人となり、先順位の人が一人でもいる場合には後順位の人は法定相続人として認められません。また、養子であっても第1順位の法定相続人として認められますが、実子がいる場合に、基礎控除や生命保険金の非課税などで法定相続人の数に算入されるのは、実子がいる場合で一人まで、実子がいない場合には二人迄という制限があります。
- 遺産分割協議書の作成
相続する財産と法定相続人が確定した後は、相続人間で遺産分割協議を行い遺産分割協議書の作成を行います。遺産分割協議とは、遺言がない場合や遺言以外の内容で相続をする際に、誰が何をどの位相続するのかを決める話し合いの事です。
- 相続税の申告・納付
相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内と定められています。遺産分割協議が纏まり次第、相続税申告書の作成、相続税額の算定、相続税の納付を行う必要があります。相続税の納付が困難な場合は、延納制度や物納制度を利用する事も出来ます。
3 相続税の申告を税理士に依頼するメリット
主なメリットは3つあります。
・素人には難しくて煩雑な手続きを、専門家に依頼することで時間と手間がかからずに済む。
・相続税の控除や特例制度を上手に適用してくれるので、節税出来る。
・ミスや不備なく正しい申告が出来るので、後で税務調査されたり追徴課税されるリスクが避けられる。
相続に関して深い知識と経験のある税理士に依頼すれば、最大限に節税しながら、税務署も納得する申告ができるのです。
4 税理士選びで失敗しないための賢い選び方
4-1相続税に強い専門家の見極め方
税理士業務は、その業務の守備範囲は広く様々な専門分野があります。
税理士であればその全てに対応できるはずと考える方も多いですが、税理士にも得意分野と不得意分野があり、相続税に関しても得意とする税理士とそうではない税理士がいます。相続税の手続きを依頼しようと考えた時、おそらく多くの方がインターネットを使って安心できる税理士事務所を探そうとするはずです。その際には、次のような幾つかの注意点があります。
- 相続税の申告実績が多い
- 税理士報酬を公開している
- 税務調査を熟知している
以下、それぞれについて考察してみたいと思います。
4-2口コミや実績を活用した税理士探し
- 相続税の申告実績が多い
相続税は、税金の中でも特に複雑な分野です。したがって、相続税の申告は、相続税の申告実績が豊富な相続税に強い税理士に依頼するのがお薦めです。相続税を得意分野とする税理士事務所はそれほど多くはありません。そのため、相続税に関する税理士の選び方の要点としては「申告実績が多い」ことが挙げられる訳です。
- 税理士報酬を公開している
相続税の申告を依頼する際、税理士報酬がホームページで明確に公開されている事務所を選ぶことが重要です。公開されている税理士報酬が、「遺産総額の0.5%〜1%」の相場内に収まっているかも確認しましょう。高すぎても安すぎても、後々いざこざになる可能性があります。また、契約前に税理士報酬に関する質問に対し、丁寧に説明してくれる税理士を選ぶことも大切です。契約前から、わかりやすい説明を心がけている税理士であれば、契約締結後も円滑な情報伝達を取れる事が期待出来ます。
- 税務調査を熟知している
相続税は申告を済ませると、そこで手続きが終わりになるとは限りません。申告を行った後、税務署から税務調査を受ける場合も有ります。税務調査で行われるのは申告漏れや数字の誤り等の確認です。もしそこで誤りが発覚した場合、追徴課税を命じられる可能性が出て来ます。ちなみに税務調査を受けた方の80%以上が追徴課税を受けるといわれていますから、当事者としてはなるべく税務調査は回避したいところでしょう。
そういう意味では税務調査のことを熟知していて、調査が入らない申告手続きのノウハウをもっている税理士事務所が安心ということになります。これも税理士を選ぶうえでの要点です。なお、前述した書面添付(相続税申告の書面添付制度)も税務調査が行われる可能性を下げる一つの方法です。
5 相続税の申告を自分で行う場合の注意点と対策
5-1相続税申告に必要な知識とスキル
相続が発生した方の中には、税理士に支払う報酬を節約する為にご自身で相続税の申告手続きをしたいと思う方もいます。申告にあたっては、専門の書籍やインターネット情報が多くあり、税務署も相談に乗ってくれますので、基本的には、ご自身で相続税の申告手続きを行うのは不可能ではありません。
5-2確定申告の期限や罰則について
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。相続税の申告は、それ相応の手間と時間が掛かりますので、10か月は長いようで短い期間と覚悟しておいた方が良いです。この申告期限を途過してしまうと罰金が生じますし、申告期限間近になって税理士に依頼をした場合は加算報酬が大きくなる事は既に触れた通りです。
そうした事情も踏まえて、ご自身で手続きを進めるか、あるいは税理士に依頼するかを決める事が大切でしょう。
6 まとめ:税理士報酬と選び方の要点
相続税の申告手続きは、専門的な知識が欠かせないことから、多くの方が税理士の支援を受けることを検討します。その際に気になるのが税理士報酬ですが、その額には相場があり、多くの税理士事務所では分かり易くホームページ等で公開をしています。又、税理士の力を借りる長所は、申告手続きの代行だけではなく、二次相続の事を考えた対応や、税務調査への対応、数々の節税の助言等、税理士は頼もしい味方になってくれるのです。その意味でも、相続税の申告手続きには税理士の活用を考えて見て下さい。多くの税理士事務所では無料相談に応じていますから、先ずはそこから始めて見ては如何でしょうか?
佐藤純也税理士事務所では、相続税の申告実績が豊富で精通しており、お客様の視点に立った適正な税理士報酬のご提案をさせて頂きます。
7 所長紹介
大分に密着し、一般個人の方の相続税申告や、会社経営にかかる税金や資金繰りなど幅広い業務に携わって来ました。
お客様の分からない!という事に対し全てお応えする「任せて安心!」をモットーに日々従事しております。私どもの使命はお客様に喜んで頂くという事です。様々な税務の専門家であり、お客様に寄り添い真摯に対応する当事務所のスタッフがお客様を全力で支援致します。